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インタビュー

Vol.5 「らしさ」を引き出すブランディングで成功に導く  SMO株式会社 マネージング・クリエイティブディレクター  齊藤三希子さん

― 現在なさっているお仕事の内容と始めたきっかけを教えてください。

私は、主にブランディングの仕事をしています。ブランディングとは、その「人」、その「サービス」、その「商品」、その「会社」、それぞれの「らしさ」を引き出して社会にきちんと伝えてあげる仕事です。具体的には、実際に企業に伺い、リサーチをして得た情報をもとに、それぞれの目的に合った「らしさ」を前面に出した広告をふくめたコミュニケーションや商品、ショップを作るお手伝いをしています。

実は、元々は電通の人事部に勤めていました。ずっとクリエイティブな仕事がしたかったんですけど。その後、電通総研に移り、そこでブランディングの仕事を始めることになりました。当時、ブランディングといえば、ルイヴィトンやエルメスなどの高級ブランド品をイメージされるくらいでしたが、私は、本来の「らしさを引き出す」ブランディングの面白さにすぐに取りつかれてしまいました。あれから、ますますニーズも増え、結局、14年くらいブランディングの仕事に携わっていますね。

― えっ? 人事部からクリエイティブな世界に入ったのですか?

はい。といっても、電通でいう「クリエイティブ」は広告制作のことを指すのですが、電通総研はゼロから仕事をつくれるクリエイティブな場所でした。当時は、電通にいながらクリエイティブな仕事ができないのが嫌で、何事にもやる気がない、どうしようもない社会人でしたね。その時に出会った上司に「お前の態度が周りをおかしくする。やる気がないなら会社を辞めろ。」と言われ、目が覚めました。その後も、どんな小さなことでも100%の力を出し切ってやることの大切さを教えてもらいました。人事部にいたことで、会社全体を見ることができたし、世の中を俯瞰でみることができたと思います。まず、社会人としての仕事への向き合い方を教えてもらって本当に感謝しています。

― ブランディングの面白さとは何ですか? 

そうですね。まずは、トレンドやマーケティングを注視して、今ではなく、先を見ることがとても面白いですね。企業の強みと世の中が求めていることの合致するところを見つけていく。ちなみに、この時期でしたら、もう来年の秋冬やその先の春夏のトレンドを予想し、クライアントにご提案して、たとえば商品開発に進むことになります。さらに、メッセージや商品を受けとる消費者の気持ちを汲み取ることも重要です。消費者がラグジュアリーな気分の時に素朴なものを出してもだめ。つまり、同じものでも、時代や消費者に合った見せ方をどれだけ出来るかが勝負なのです。そういうところが面白く、やりがいがあります。

―「トレンドを注視する」ということですが、トレンドはどのようにわかるのですか?

トレンドを知るには、見るべきポイントがあって、まず、注目の都市であるニューヨークや東京の一部を定点でみることです。例に挙げれば、自分らしい生活、自分と向き合う丁寧な生活を送りたいという人が多くなった昨今、「ブルックリン」が注目され、たくさんの商品やイメージが発信されましたよね。一方で、やはり都会の刺激や洗練さを求める流れもあって、「マンハッタン」に人の気持ちが戻ってきている・・・というのが最近の傾向です。居心地のいい中で都会の洗練を求めていく・・そういう時代の流れを見ながら、その企業やその商品「らしさ」をわかりやすくカスタマイズすることが私の役目だと思っています。

 ―「らしさ」とは具体的にどんなことですか?

わかりやすい例を出すと、現在、ブランディングのお手伝いをしているルミネです。ルミネは、ご存知のように駅ビルからファッションビルへ転換して、次のステージに向かっています。でも、ルミネの役割は、伊勢丹に求められるような、モードや最先端ではなく、時間があるときにフラッと立ち寄って、その人らしいチョイスができるということなのです。コレクションからエッセンスを取り入れながらも、手ごろな価格で手に入る・・それがルミネらしさだと思うのです。ですから、上のステージを目指すというよりも、お客様のその期待にきちんと沿えるようにしていくことが重要と考えています。

― デパートのような国内競争だけでなく、海外との競争が大変なマーケットも沢山ありそうですね。

はい。現在もブランディングのお手伝いをしているCombiがいい例かもしれません。おしゃれな外国製のベビーカーに比べると、日本製はどうしても洗練されていないイメージがあるようで、それを払拭しようとデザインに重きを置く傾向がありました。それでも大きく市場は動かない。そこで、「何のために、何を目的にして作っているか」を再確認するご提案をさせていただきました。すると、「そうだ、私たちは育児が大変なママを助けたかったのだ。もちろん、赤ちゃんのため・・というのもあるけれど、まずは、ママが少しでも楽に、ハッピーになるように、ママのさらなる手になるような助けをすることが目的だったのだ」ということをもう一度確認してくださいました。そこから、ママに優しい商品開発をしていくと、デザイン先行でなくても不思議とかっこいいものができてくるのです。人の意識が変わると商品も変わっていくので、とてもやりがいがあります。

― 自分の仕事を自らPRしたいときに、効果的な方法があったら教えてください。

そうですね。どうしても人はスペック(機能)を並べて「こんなに素晴らしい」と
言いたくなりますが、それでは人に伝わらない。例えば、AppleのCMを思い出してみてください。スペックを説明するのではなく、「これを使うとこんなに素敵な生活が待っていますよ。こんな風にあなたの生活が変わりますよ。」と伝えています。ですから、みなさんも、自分が関わっているものをPRしたい場合は、相手の生活に落とし込んであげて「こんな風に変わりますよ。」と伝えてあげることが効果的な方法だと思います。
 
― 以前、f# factoryの月例会に参加した印象は?

一人で頑張っていらっしゃる素敵な女性が大勢いて、仲間がこんなにいるのだ、と嬉しくなりました。皆さん、決してストイックではなく、優しい雰囲気に包まれている方ばかり。いい意味で緩い感じが今の時代に合っているし、お互い応援しながら磨きあうというのは、素敵な関係ですよね。

― f# factoryは「絆と自分らしさを手にいれよう」というコミュニティーなのですが、
  齊藤さんにとって「絆を感じるとき」そして「自分らしさ」を教えてください。

絆を感じるときは、クライアントを含めたチームで、意見の相違など様々な問題を乗り越えて、結果的に素晴らしいものができたときです。
自分らしさは、好奇心旺盛で前を向いて歩くこと・・・ですかね。


― これからどんなことに力を入れていきたいですか?

三つあります。まず一つ目は、今も積極的に行っている「purpose」というコンセプトに基づいたブランディングで、「らしさ+世の中のためになる(社会貢献)」を組み合わせて展開していくものです。例えば、シャネルも「女性の解放」を「purpose(目的)」にして洋服を作っていましたが、そのメッセージが世の中に響いたからこそ成功しました。社会貢献を会社の余ったお金でやっていた時代は終わり、今は、事業そのものが社会貢献である企業が結果的に売上げを上げています。これからは、ますますこの「purpose」がキーワードになってくると思います。

二つ目は、昨年夏に、NYのセットデザイナーの友人と大手百貨店出身の友人と3人で「KALIN」というヘアーアクセサリーのブランドを立ち上げ、パレスホテルで展示販売会を行いました。「KALIN」とは凛とした華という意味。自立した素敵な女性につけてほしいという思いが込められています。いずれは、海外に進出したいですね。

そして、三つ目は、個人が活躍するベースが社会にできてきたので、企業だけなく、個人を対象にしたブランディングをもっと積極的にしていきたいと思います。今、女優さんやモデルさんへのブランディングのお話もいただいています。目標と目的、その人らしさをきちんと世の中に伝えなければ、もったいないですよね。f# factoryの仲間たちにもますます輝いてもらえるように、何かお手伝いできたら嬉しいですね。

齊藤三希子さん
SMO株式会社 マネージング・クリエイティブディレクター
ホームページ:http://www.smo-inc.com/

<編集後記>
4歳になるお嬢さんを育てながら、何社もの大手企業のブランディングをしている齊藤さん。バリバリ感満載!と思いきや、実際にお目にかかると、そのイメージとは正反対。とても穏やかな印象の優しい笑顔の女性で、クライアントさんが何でも相談したくなるのがわかりました。
同じ会社で社長兼コンサルティングをしているご主人と、休みとなれば、トレンドを探るために国内外を飛び回っているそうです。「今は、海外旅行が身近になったうえ、世界中のトレンド情報がインターネットで簡単に入手できてしまうので、さらに先のトレンドを見るために、毎日気が抜けないのです。(笑)」と本音もチラリ。自然体がとっても素敵な齊藤さんでした。ますますのご活躍をお祈りしています。
インタビュアー&文 f♯family 八代華代子

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