f#(fシャープ)「自分らしさ大切に。明日への想いをつなぐプロジェクト」|TOP

インタビュー

Vol.1-Part.2 巨匠写真家 山岸伸さんの一人語りによるギャラリートークより

スポーツのコーナー

ばんえい競馬

スポーツのコーナーとくに帯広出身というわけでもないんですけど、2007年から北海道の帯広市の観光大使をしています。きっかけは仕事でお世話になっているイエローキャブの野田義治社長に誘われて見た「ばんえい競馬」です。ばんえい競馬というのは一言でいうと、全長200メートル、途中に2ヵ所障害のある直線コースを馬に引かせた鉄ゾリで競うレースのことです。よく知られている平地競馬とは違い、スピードだけではなく、馬が重いものを引っぱる力と持久力、騎手のテクニックが勝負を分けます。

帯広競馬場というちょっと枯れた競馬場に行った時、一番最初に目についたのがこの馬で、「スーパーペガサス」という800頭いるばんえい競馬の頂点に立った馬です。

実は撮影中にスーパーペガサスの馬車の荷台から落ちましてね。馬の馬力ってハンパじゃないんです。動くだけで人がドーンと落ちるくらいですから。カメラも持ってたし興奮しちゃったみたいで。結局手の骨にびびが入って軽い炎症を起こしたんですけど、それくらい馬には力があるってことですよね。とてもキレイな馬でしたね。ロシアと日本の掛け合わせで北海道の農耕馬なんです。性格もすごく優しいです。調教が終わったら自分からすぐにおとなしく厩舎に入ってましたね。この1週間後に爪から黴菌が入って死んだらしいんですが。

僕は競馬場に行くたびに「先生すごいね、強い馬ばっかり撮るよね」とよく言われるんです。でも、もちろんどの馬が強いのかなんてわかりません。僕は競馬の場面はほとんど撮ってなくて、朝の調教の場面が多かったんです。朝6時くらいに起きて、朝の調教に立ち合った時は感動しましたね。それで100頭くらいいる中から僕が被写体に選ぶのはけっこう強い馬ばかりらしくて。人間を撮影するときも話をしながら撮りますけど、馬にも話をしながら撮りました。馬は人間の言葉はちゃんとわかりますから。調教師でなくて僕らの言葉でもかなり通じます。僕はホントのところ、匂いが耐えられなくて動物には弱いんですけど、6年間競馬場に通いまして今では馬と大の仲良しです。

ばんえい競馬は廃止になるんじゃないかとも言われていて、今年1年は大丈夫だと思いますが、来年はわからない。僕は写真を撮ることしかできないけど、これからも帯広に通って撮り続けたいと思っています。

高良健吾さん主演の「大地のファンファーレ」というNHKのスペシャルドラマが今年の3月に放送されたんですが、ご覧になられた方はいらっしゃいますか?ばんえい競馬を舞台に、一人前の騎手を目指す若者の物語で、僕はそのスチール撮影を担当しました。

撮影が始まり、去年の7月に初めて高良くんに会ったんですけど、馬に触るのも初めてだったのに、わずか2時間で馬に乗れるようになって、3ヵ月には馬を乗りこなすようになってたんですよ。あれにはびっくりしました。撮影中は朝からずっと馬と触れあって、もちろんほかにも出演者はいますが、ホントにどうしてそこまでするの?というくらい一生懸命で。一切スタントマンを使わずやり切って、僕よりずっと若いけど尊敬しましたね。こういう人がばんえい競馬にかかわってくれたら、廃止にならなくてすむんじゃないかなって思っていました。

モータースポーツ

車のレースの写真は初めて撮りました。僕が病気だってことを知ったチームの方が声をかけて下さいまして。「レーサーも命がけでレースに出ているけど、山岸さんも命がけで撮ってください」と言われました。最初は「撮れるかなあ?」とちょっと不安でした。写真はポートレートを撮る人、スポーツを撮る人、自然を撮る人、すべてのジャンルにスペシャリストがいます。モータースポーツにもカメラマン協会のようなものがあって、入っていない人は認められないんです。僕は写真集を撮るために行ったので、そのチームの写真は全部撮れるんですが、他のチームの車を撮るのは禁止でした。撮るのに一番いい場所は、プレスとモータースポーツ専門のカメラマンしか入れなくて、僕はチームからもらったパスで一歩外れた金網の向こうから撮らないといけなかったんですね。

それで、車はものすごいスピードで走ってくるんですが、他のカメラマンと同じものを同じ場所で撮ったものを発表していくにあたって「負けないぞ」って初めて思ったんです。今まで人に負けたくないと思って写真を撮ったことなんてなかったんですが。

「モータースポーツ専門のカメラマンより、意地でもいい写真を撮ろう!」と自分に言い聞かせて撮りましたね。4回撮影に行って「REAL RUN ―1秒と永遠―」という写真集ができあがりました。

意外と簡単なんですよ、レースの写真って。デジカメになってから僕みたいな素人にも取れるようになったんです。「よーいドン」で走り出したらコーナー曲がったあたりでだいたい順位は決まってますから。ずっと待っていれば何分後に回ってきますし。昔からよく言われているように、置きピンっていうか車が来る寸前に合わせて撮る。そこだけわかっていれば撮れます。車はものすごいスピードで走ってくるんですが、シャッターチャンスはそのスピードについていけるかどうかだけなんです。何億円ってかけてドレスアップした車が走ってくるわけですから、カッコいい写真になるに決まってるんです。

ギャラリートーク終わって…。

清子
そういえば、スカイツリーを入れて女性を写真を撮る企画はまだありますか(^^)?

伸さん
ありますよ。撮りましょう、それ(スカイツリーを入れて女性を写真を撮る企画)とは別にお撮りしますんで(^^)

Editor
f♯factory Team ライター
原田亜弓
写真協力: 山岸伸事務所
ページ先頭へ戻る